王子 真・エピローグ

49. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 17:54:47.45 ID:mtMijjDlo
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1351334821/
>>913を診てもらえると良いかも


亡国の王子処刑から十数年後

第六次聖杯戦争  勃発

勝者  第八のサーヴァント


貴方は、旭光を浴びながら、薄れゆく自分の身体を確認する

万能の願望器である聖杯が無ければ、

本来、霊体である自分の身体を保つことが出来ないであろう

貴方の直ぐ傍で、少女が涙を流しながら手を繋いでいる

初めは、とても頼りないマスターだと、貴方は思った

彼の国の生き残り、きっとその縁が貴方を呼び寄せたのだろう

自分に自信を持てず、誰かの後ろに隠れていないと何も出来ない

そうしてしまったのは、彼の国を焼いた自分に責がある

だから、この戦いに勝利は出来ずとも、この少女は守らなければ…

そう思っていた

だが、その予想はどこで狂ったのだろうか

この弱くて、涙もろくて、小心者なマスターには、誰にも負けない勇気があった

死に掛け貴方分を救うために、奔走した勇気があった

絶望的な戦いの中で、諦めずに涙を拭いて立ち向かう勇気があった

万能の願望器が、世界を呪うモノだと知った時、迷わず破壊という決断をする勇気があった

彼女は、弱くなど無かった

それが、貴方には何よりも誇り高いものであった

マスター「やだ…やだよ…いなくなっちゃやだ…」

マスターは貴方に手を離さずしがみついて泣いていた

貴方は、そんな彼女に苦笑し、そして頭を撫でる

何度の奇跡があって此処にこれたかは解らない

それでも、彼女を守る事が出来た

それが、なによりも安堵であった




50. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 17:55:59.11 ID:mtMijjDlo

貴方のマスター…彼女にとって、貴方の存在そのものが奇跡だった

彼女は、彼の国の難民キャンプで生まれた

そんな彼女はいつも不満に満ちていた

何故、こんな貧しい暮らししか出来ないのか

どうして、自分には穏やかに過ごせる国が無いのか

だが、それを言うと爺やも母も叱るのだった

―――儂等には地に足を付ける国は無くても

―――その志もその遺志も、あの国と王と共にある

そんなものは嘘だ。何故なら、自分にはそれがない

それに、自分はそんな愚かな王様に会ったことなどない

彼女は、指の腹で髪飾りを弄る

その髪飾りは、彼の国に伝わる王家の紋章が象られている

自分が生まれて直ぐに、王様がこれをくれたと爺やは言うが

彼女はそれを一度も信じることが無かった

彼の国の魔術師の家柄であった貴女には魔術が使えた

爺やから魔術の手ほどきを受けながら、貴女は来るべき日を待ち望んだ

それは、聖杯戦争

勝利者には、万能の願望器である聖杯を手にすることが出来る

そして…かつて、彼の国の王様が挑み、そして手にすることが出来なかった

なら、自分がそれを掴んで、今よりずっと裕福な世界で暮らしてやる

そう、夢を見ながら、魔術の研鑽に励んでいた

彼女はついに日本へと旅立った

爺やも母ももういない、一人ぼっちとなった少女は聖杯戦争しか行き場が無かった

だが、彼女は初めて思い知った。世界の広さに思い知った

難民キャンプの中の世界しか知らない彼女にとって

日本という世界は、全てが魔術なんかよりも夢幻にしか思えなかった

彼女の心は折れていた。一人ぼっちの彼女には聖杯戦争でさえ拠り所にはならなかった

―――誰か…助けて

その想いを一心にして、彼女は…英霊となった貴方を呼んだ



51. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 18:01:45.72 ID:mtMijjDlo
初めは2人して、凸凹した関係であっただろう

小心者で泣き虫のくせに自尊心だけは一人前な彼女

礼儀正しいと思ったら、口達者で天然なくせにいじめっ子な貴方

いつも、何かに付けてはマスターである彼女をからかう貴方

彼女は、自分がマスターなのだから従えと怒るが

貴方は、飄々と屁理屈をこねる

―――私に忠義を示してほしいなら、もう少し、背筋を伸ばしなさい

―――私にモノを言うよりもまず、好き嫌いを直しなさい

―――マスターとしての威厳を保つよりまず、その内弁慶を直しなさい

どうして、貴方はそんなに意地悪なのかと彼女は問う

昔はこんな性格ではなかったと貴方は答える

紆余曲折を得て様々な事を学んだと、貴方はいつも微笑んでいた

サーヴァントは皆、過去に様々な偉業を達したという

彼女は、よく貴方の逸話を聞きたがっていた

貴方は、苦笑して答えた

―――いえ、私は偉業なんてありません

―――私は願いを叶える為だけに、此処に在るのです

彼女は、その意味を知るのは、もう少し後からだった

そう思えば、彼女にとって貴方の存在はとても不思議であった

まずは、自分のサーヴァントのくせに、ステータスが何も確認できない

何せクラス名さえ解らない。多分、セイバーだろうと思っている

貴方はその事について彼女をからかった

―――良い男は秘密が多いのです…と

徐々に彼女は貴方の謎を知りたいと思った

なにより、貴方が彼女を見つめる目にいつも不思議を思ったから

どうして、貴方はいつも…彼女をそんな目で見つめるのか

それが知りたかった

それは、様々な敵との邂逅で思いを強くしていった

ランサー「さぁ!無実無根の自覚はあるか!!」

彼女がランサーのマスターに攫われたとき、深手を負いながらも貴方は彼女を助けた

助けた彼女を強く抱きしめて、何度も自分に言い聞かせるように…良かったと呟いていた

その想いは『アーチャー』との戦いで強くなる

アーチャー「まさか、英霊になってまで、貴様と顔を合すことになるとはな」
貴方「えぇ、アーチャー…この縁は最早宿命とでも言いましょうか」

両手で持てばガラクタさえも貴方の宝具になる

そして、アーチャーの両手にも模倣された宝具がある

アーチャー「貴様が行ってきたことは何も解決しない!それがなぜわからない!」

貴方「私が行ったことは確かに、何も解決しない」
貴方「前にも言っただろう、私は知らない誰かの得する顔より、見知った人の笑顔が見たいのです」

その言葉と瞳は、烈火のごとく熱さを持っていた


52. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 18:04:08.45 ID:mtMijjDlo

そして、『セイバー』との戦いで、彼女は貴方を知る事になった


セイバー「あの戦いは今も私の心に焼き付いています」

貴方「私もだ、セイバー。あの戦いが在るおかで、私は此処に在る」

黄金の髪と純白の騎士装束を着た…自分の知らないセイバーが貴方に問いかける

貴方「歴史は私を国を燃やされた復讐者であると」

貴方「それでも、構いません。私はあの結末を生み出した張本人として」

貴方「例え、世界と契約を交わしても、私は最後の最期まで見届けたい」

セイバー「そうですか…やはり貴方はあの時から変わらない」

セイバー「皆の未来の可能性を守る為、自分の理想を否定した」

セイバー「私のマスターであった頃から、変わりません」

2人が何を言っているのかわからない

セイバーは光輝く黄金の剣を両手に持ち上げる

貴方…アヴェンジャーのサーヴァントである貴方もまた

その手に、黒き魔剣を握り締める

セイバー「約束された―――」

アヴェンジャー「無毀なる―――」

戦いが終わった後、アヴェンジャーとなった貴方は…話してくれた

自身の真名を…そして、その運命を―――

きっと、最初の頃の彼女は信じなかっただろう

しかし、貴方との確かな絆を確信した彼女は、信じることが出来た

そして―――

貴方「申し訳ありません、マスター。君の願いを叶えてあげられない」

徐々に光と同化していく貴方にしがみつき涙を流す彼女

彼女は幼子の様に涙を流して駄々をこねる

いらない、裕福な暮らしも地に足のついた生活も

嫌だ、貴方がいなくなるなんて嫌だ

貴方「一人ぼっちが寂しいのはわかります…ですが…」

違う!一人ぼっちが嫌なんかじゃない

貴方がこのまま幸せになれずに消えてしまうのが嫌なのだ

貴方「…では、そうですね」

貴方「私の望みを一つだけ叶えてくれますか?」

その言葉に、彼女は何度も頷いた

消えたくない…そう答えてくれたら彼女はどんなことでもするつもりだった

だが、貴方の答えは、彼女の思う全ての答えと違っていた

貴方「貴方の笑顔を見せてください」

貴方は静かに彼女の涙を拭い、頬を撫でた


―――それが、私がこの世界に在る、唯一の望みです


53. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 18:08:34.80 ID:mtMijjDlo
そう、難民キャンプで王家の紋章を彼女に渡した時、貴方はようやく贖罪が見えた

あの幼き赤ん坊が、貴方に救いを齎した

もし、この赤ん坊が成長して、大きな危機に見舞われたなら

貴方は時空を超えてでも、必ずや駆け付けよう


―――必ず、自分が守ろう、彼女の騎士となって


貴方「マスター、私は貴方の騎士になれましたか?」

彼女は、何度も強く頷いた

ずっと、自分を待ってくれた

ずっと、自分を導いてくれた

彼女にとって、貴方は何よりも得難いものとなった

貴方「なら、思い残すことは残り一つです」

貴方「どうか、笑って下さい」

貴方「それで、私は救われます」

彼女は何度も涙を拭い去り、貴方に不器用な笑顔を見せた

ほとんど泣き笑いのようであったが、それでも貴方には彼女の笑顔を見ることが出来た

貴方「―――これで、私の願いは果たされました」

もう、これで思い残すことは無い

あの日、堕天の檻で理想の世界を造らなかったのは、

全て、此の為なのだと思っている

理想の世界など、自分には不相応なのだ

そんなものよりも、自分は贖罪を果たせる未来が

彼女の危機を切り伏せる未来が欲しかった


今なら、貴方は強く思うことが出来る

あの日、あの時の選択は間違いなんかじゃないと―――


そして、貴方は笑顔で彼女を見送り塵となった



真エピローグ:真に果たされた貴方の願い




54. ◆XFKJOt0a3Y 2014/05/11(日) 18:09:10.39 ID:mtMijjDlo




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