マジカルパティシエ小咲ちゃん!!の第1話

?「今、人間界を巡る魔素(マナ)の均衡が乱れ、世界は危険な状態にある」
「これを是正する才を持つ、人間の救世主が必要だ」
「ま、そんなわけでお前達、人間界行ってうまいこと」
「「魔法少女」の契約とってこい♪」


第1話 ケイヤク

とある高校、眼鏡をかけた少女が山盛りの用紙を運んでいる、
彼女こそ主人公・小野寺小咲である。
小咲「んしょ、んしょ、ふぅ重い・・・っ」
(でも・・・もう一人の日直さんは帰っちゃたし・・・私ががんばらなくっちゃ・・・!)
小咲はそのまま階段を降りようとする。
小咲(ま・・・前が見えない・・・)
小咲は足を滑らせ、階段から落ちてしまう。
小咲「! わっ、きゃあああああッ!!?」
「・・・?ふぇ!?」
しかし、小咲はある男子に受け止められた。
男子「ケガはないかな?」
小咲(!?)(!?)
「えっ!?は、はい・・・っ!!!」
男子「そうか、それならよかった」
「一人でこの量を運ぶのは大変だろう、僕も手伝うよ」

小咲(それが、私、小野寺小咲と憧れの生徒会長、一条楽先輩との出会いでした)
(その出会いから数か月・・・)

女子たち「「「キャ―ッ♡一条センパーイ♡♡」」」
「「「一条先輩これ食べて下さいっ!!」」」
楽「ありがとう」
女子たち「「あ、あのっ、今日の放課後よかったら・・・私達とアフターヌーンティーでも・・・!」」
楽「ああ、すまない。今日はこの後、銀行に立ち寄る用事があってね。早く帰らねばならないんだ」
小咲(一条先輩、今日もカッコイイ・・・♡)
小咲は物陰から見ていた。

小咲(引っ込み思案な私は当然告白などできるはずもなく、遠くから眺めているだけの毎日です)
(頭脳明晰、スポーツ万能で超絶イケメン、生徒会長。しかも、あの日本有数の大財閥、一条コンツェルンの御曹司、そんな先輩と地味な私じゃ全然釣り合うはずもないですし)
小咲は家庭科室に移動した。
小咲(でも・・・夢ぐらい見たってバチは当たりませんよね・・・!)
小咲はTVをつける。
TV「誰でもできる3分お菓子クッキング――♪」
小咲「よーし!今日もがんばって練習するぞ!」
(いつかおいしいお菓子を作って先輩に・・・)

小咲「センパイ!これ食べて下さい!」
楽「ありがとう、とてもおいしいよ」
「こんなにおいしいお菓子が作れるなんて・・・君も一緒に食べてしまいたいな・・・」
小咲「あ・・・っ♡お熱いうちにどうぞ・・・♡」

小咲「な―んて・・・」
小咲が妄想してる内に、レンジでクッキーが焼きあがった。
小咲「はっ・・・何考えてんだろ、私・・・ッ!!」
「できたできた、うんっ、綺麗にできた♪」
「味は・・・」
小咲がクッキーを一口食べるが――
小咲(ドロッとして、ネバッとして、辛くて、苦くて、まっず―――っ!!)
「うう―――っ!!負けないもんっ!!次こそ、次こそおいしいお菓子を・・・!!」
小咲はメレンゲをかきたてる。
だが、そのメレンゲが爆発した。
小咲「うぷ!!?」「ぷあっ!?」「!?」
(メ・・メレンゲが爆発した―――ッ!!?)
?「ゲホッ、ゲホッ、変な所に具現転移してしまったわね・・・」
小咲「!」
ボウルの中には、シルクハットとチョッキを着たネズミがいた。
ルーリン「はじめまして小咲ちゃん、あなたを捜していたの。」
「私は魔法の国の使者、ルーリン、さあ小咲ちゃん・・・あなたは今日から私と契約して「魔法少女」になるのよ!」

その頃、楽は凡矢理銀行に来ていた。
行員「それでは一条様、お呼びしますので少々そちらでお待ちください」
楽「うむ」
だが、怪しい様子の2人の男が銃を取り出した。
銀行強盗「「全員手を上げろォッ!!!今すぐこのカバンにありったけ金を詰めるんだ!!!」
楽「!!」

ルーリン「・・・わかったわ、小咲ちゃん・・・・冷静に話し合いましょう」
「とりあえず出してもらえるかしら・・・」
ルーリンはボウルに閉じ込められていた。
小咲「ねねねね、ねずみがッ喋・・ッ、何も見てない、聞こえてない、こんなの夢に決まってるもん・・・!」
ルーリン「夢じゃないってのに・・・」
ルーリンは、ボウルの外へテレポートした。
小咲「ひひぃ!テレポート!?」
ルーリン「騒がしい子ね・・・」
小咲はとりあえず、片付けをしながら、ルーリンの話を聞き出した。
小咲「えーと・・・ルーリンさんの住む魔法の国が今ピンチで、魔法少女をスカウトしに来たのはわかったんだけど・・・どうして私・・・どう考えたってそんな才能ないと思うけど・・・」
ルーリン「いいえ、毎日ここでお菓子作りに励むあなたの姿・・・観察させてもらったわ」
「あなたは「心を込めてモノを作り出す」という魔法錬金術に不可欠な才能を持っている」
「これはね、魔法少女になるのに充分値する資質なの」
なお、この事を説明する際の小咲のイメージ映像は・・・
小咲「イヤ―ッ、イメージ映像何故裸エプロン!?」
「でもそんな・・・」
ルーリン「それにあなた、魔法少女として正義のヒロイン的活躍をすれば・・・例の生徒会長も振り向いてくれるかもしれないわよ?」
小咲「ふえ!?」
「いやいや、でもやっぱり無理だよ!!てゆーか何故それを!?妹にもそーゆーの止められてるし・・・!」
春(おねーちゃんはすぐ詐欺とかひっかかりそうだから―・・・)
TV「臨時ニュースです。市内の銀行にたった今銀行が押し入り、人質をとって立てこもっている模様です。人質は一般市民数名に及び、警察も慎重な対応が・・・」
TVには、人質にされた楽達が映っていた。
ルーリン「あら」
小咲「いいいいい、一条先輩―ッ!!?どどどどど、どうしよう・・・!!!」
ルーリン「王子様のピンチね」
「落ち着きなさい、あなたならできるわ、小咲ちゃん。私と契約して魔法少女になれば、彼を救える、どうする?」

銀行強盗1「オラ、さっさと金詰めんかい!!」
楽「・・・・・なぁ君」
銀行強盗2「あ?」
楽「今すぐ人質を解放してくれないか」
銀行強盗2「何、寝ボケとんじゃ、ワレ。ハイ、そーですかと聞くと思とんのか」
楽「・・・・・全員解放しろとは言ってない」
「僕が残る!人質は一人いれば充分だろう!」
銀行強盗2「おーおー、ガキがいっちょ前にカッコつけよってからに」
銀行強盗が楽にピストルをつきつける。
銀行強盗2「そん耳トバされても・・・同じこと言え・・・」
その時、巨大泡立て器が地面に投げつけられた
楽(な・・・!?巨大泡立て器・・・!?)
小咲「そ、そこまでです!こ、これ以上の悪事は・・・この!愛と正義と甘味の魔法少女!マジカルパティシエ小咲ちゃんがゆるしませんっっ!!!」
魔法少女に変身した小咲が現れた。銀行強盗達の反応は・・・
小咲(ルーリンさん、話が違うよ!!こうすれば絶対相手はたじろぐって・・・)
ルーリン「たじろいではいるじゃないか」
小咲(どん引いてるんだよぉ~~~っ!!!)

銀行強盗2「何じゃあ、おどれは!?」
銀行強盗1「ふざけたカッコしておちょくっとんのか!!?」
小咲「わわわっ!!!」
銀行強盗達が小咲を狙ってピストルを連射するが、小咲はホイップを出現させて盾にする。
楽(す、すごい・・・!)

ルーリン「小咲ちゃん、危害を加えてはダメよ」
小咲「!」
ルーリン「おのチンピラ達がまとう黒いオーラが見えるわね?おそらく彼らは魔法の国の力で洗脳されて、邪悪な心を肥大化させられているだけ・・・!」
小咲「そ、それじゃあどうすれば・・・!!?」
ルーリン「マジカルスイーツクッキングの出番ね!!」
小咲「マジカル・・・?え?」
ルーリンのステッキが光ると、小咲の手元にお玉が出現した。
小咲「!?頭の中に直接メロディが・・・!?
ルーリン「魔法起動呪文節よ!そのまま詠唱して!」
小咲「白玉こねこね♪つぶあんこねこね♪」
「いちごを包んで~~♪」
「レンジでチンして、できあがり♡」
銀行強盗1「な・・っ」
小咲「マジカル完成っ♪洗脳解除イチゴ大福~~!」

マジカル注釈! これを食べるとあら不思議!
どんな暗示や洗脳もたちどころに解けてしまう、とっても便利な大福なのだ!

銀行強盗2「はっ!何故か空気を読んで、一部始終を見守っちまった・・・!」
銀行強盗1「ナメやがって、こんガキャ・・・」
小咲は洗脳解除イチゴ大福を、銀行強盗の口に投げ込んだ。
銀行強盗2「まっずうううううッ!!!!」
銀行強盗1「こ・・・ッ、このまずさはぁぁッ!!!」
小咲「し、失敗!?」
ルーリン「いや、よく見なさい」
銀行強盗は涙を流していた。
銀行強盗2「このまずさは・・・」
銀行強盗1「昔、田舎の母ちゃんが不器用なくせに一生懸命作ってくれた「くさや納豆シュークリーム」の味にそっくりじゃねェか・・・・!チクショウめ・・・」
銀行強盗から、黒いオーラが消えた。
銀行強盗「・・・はっ!?オレ達は一体何故こんなマネを!?」
ルーリン「無事洗脳も解けた様ね」
小咲「どうしてかなぁ、とっても複雑・・・」

銀行強盗だった兄弟は、警察に連行されていった。
小咲「「白衣の男」?」
兄弟「ああ・・・仕事見つからなくて、3日3晩飲まず食わずだったオレらの前に、
謎の白衣の男が現れてのぅ・・・」

弟「ハラへったよォアニキ・・・もう・・・銀行でも襲うしか・・・」
兄「何言ってやがる、オレらにそんな度胸・・・」
白衣の男「お困りの様だね。その欲望・・・解放してあげようか?」

兄弟「その男が手をかざした途端・・・急に何も考えられなくなって、欲望に歯止めがきかんよーになってもーた」
ルーリン「 「欲望解放魔法」・・・間違いない、その男、魔法の国に縁のある者ね・・・」
楽「・・・・・罪を償った後・・・どうしても仕事が見つからない様なら、僕の所に来たまえ。何か力になんぱれるかもしれない」
ルーリン「あら、イケメン」
弟「な・・・なんッて懐の深いお人だァァ!!!」
兄「 「坊ちゃん」と呼ばせて下せぇ!!!!」
楽「そ・・・それはやめてくれたまえ・・・なぜ「坊ちゃん」?」
ルーリン「ま・・・何はともあれ、一件落着ね、ほら行くわよ」
小咲「センパイ・・・♡」

楽(彼女は・・・マジカル・・・パティシエと言ったか・・・)
「また・・・会えるだろうか・・・」


小咲とルーリンは、小咲の部屋に戻った。
ルーリン「いや―小咲ちゃん!初めてにしては素晴らしい手際だったわよ!」
「で・・・何を沈んでいるの?小咲ちゃん」
小咲「ルーリンさん・・・あの時は非常事態だったから、つっこむタイミング逃しちゃったけど・・・」


回想
小咲「契約するよ、ルーリンさん!一条先輩を救う為なら私、魔法少女になる!!」
ルーリン「・・・うん!たしかに契約書にサインを頂いたわ」
「さあ、これで契約は完了よ。さっそく変身しましょう、小咲ちゃん!」
小咲「わかったわ、ルーリンさん!」
ルーリン「へ~~んし~~ん!」
小咲の体が光に覆われていく。
小咲「!!わわ・・・すご・・・・ってん!!?」
光の中で、小咲は全裸になってしまった。
小咲「ヒッ、ヒギャアア――ッ」


小咲「変身中の数秒間、全裸になるなんて聞いてないよーッ!!!」
ルーリン「何言ってるの今更、契約書にも書いてあったでしょう?ほら」
(超拡大)・ちなみに全裸です。
小咲「ぎゃふん!ちっさ!!!」

小咲「こうして、私は魔法少女をやることになりましたが、
先行きがとても不安です・・・全裸・・・」




(続く)

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最終更新:2016年12月15日 09:20