仮面ライダー4号の第1話


進ノ介「仮面ライダー3号──
正しい歴史には存在しない、最強最速のライダー。
ショッカーは歴史改変マシンで歴史を捻じ曲げ
世界を支配していた。
俺たち仮面ライダーは大きな犠牲を払いながら
マシンを破壊した。
世界は元の正しい時間に戻り、3号は消えていった」

霧子「歴史は修復されたけど、
一つだけ取り残しがあった。
それが…… 剛の死」

進ノ介「世界は、本当に……
元に戻ったのだろうか?」




エピソード1 死斗! 仮面ライダーは三度死ぬ!!



ショッカー基地。『スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号』で破壊されたはずの歴史改変マシンの残骸がある。

「間もなくだ。間もなく世界は、我らのものに……」


警視庁特状課。机に突っ伏して眠っていた進ノ介が、スマートホンの着信音で目を覚ます。

進ノ介「俺…… 寝てたのか? ───もしもし」

映画観の前の霧子。そして、『仮面ライダー3号』で死んだはずの剛が一緒にいる。

霧子「今どこですか? とっくに待合せ時間、過ぎてるんですけど」
進ノ介「えっ、待合せ!?」
霧子「非番の日に、剛と3人で映画に行こうって」
進ノ介「そ、そうだっけ」
霧子「『そうだっけ』じゃないですよ! 今どこですか?」
進ノ介「特状課。寝ちゃってたみたいだ……」
霧子「わかりました、剛と2人で行って来ます!」
進ノ介「あぁ、すまない……」

時計に目をやると、表示は4月4日、9時55分。


剛「進兄さんは?」
霧子「寝てたみたい」
剛「進兄さんも疲れてんだよ」
霧子「仕方ない…… 2人で行きますか」


ドライブピットを訪れる進ノ介。

ベルト「どうした? 浮かない顔をして」
進ノ介「いや、気がついたら特状課で寝ちゃってて…… 体調、悪いのかな?」
ベルト「君の体のことは、シフトブレスを通じて私が完全に把握している。今の君は健康そのものだ」
進ノ介「そっか」
ベルト「ところで、霧子は?」
進ノ介「あぁ、今日は非番。剛と一緒に映画に行ってる」
ベルト「珍しいじゃないか」
進ノ介「たまには、息抜きも必要なんだよ」


侑斗「泊、事件だ!」
進ノ介「おいおい、誰だ、あんたたち!?」
巧「何言ってんだ!? ショッカーが暴れてる!」
進ノ介「ショッカー? 何だ、それ?」
巧「いいから行くぞ!」
侑斗「早く!」
進ノ介「ちょ、ま、待てって!」

巧らに促され、進ノ介は強引に出動させられる。

進ノ介「ベルトさん、あいつらは?」
ベルト「私にもわからない。だが、彼らは進ノ介のことを知っているようだね」


ショッピングモールで、ショッカー怪人であるチーターカタツムリが、人々を相手に暴れ回っている。

進ノ介「ロイミュード!?」
ベルト「どうやら違うようだ」
進ノ介「じゃあ、あいつらが『ショッカー』?」
侑斗「そこまでだ、ショッカー!」
巧「罪のない人々を傷つけるのを、見過ごすわけにはいかないな!」
カタツムリ「ハハハ! 貴様ら人間に、このチーターカタツムリ様が倒せるものか」
侑斗「バーカ。お前なんかとは、レベルが違うんだよ」
巧「行くぞ!」

『Standing by』

巧・侑斗「「変身!」」

『Complete』『Altair Form』

巧がファイズに、侑斗がゼロノスに変身。

ゼロノス「最初に言っておく。俺はか──な──り、強い!」
進ノ介「仮面ライダー!?」

2人がショッカー戦闘員を相手に、戦いを繰り広げる。
その光景を見ていた進ノ介が、奇妙な感覚に囚われる。

ベルト「どうした?」
進ノ介「ファイズ、乾 巧…… ゼロノス、桜井侑斗…… どうして俺は忘れてたんだ? 一緒に戦った仲間じゃないか! ───変身!」

『Drive! Type-Speed!!』

進ノ介もドライブに変身し、戦いに加わる。多勢に無勢と見て、チーターカタツムリが退散する。

ドライブ「侑斗、巧、ここは任せろ!」
ファイズ「わかった!」
ドライブ「お前たちの相手は俺だ!!」

ドライブが戦闘員たちを引き受け、ファイズとゼロノスはチーターカタツムリを追う。


一方、映画館を出た霧子と剛。

霧子「剛!」

目の前でファイズ、ゼロノスとチーターカタツムリの戦いが繰り広げられている。

ゼロノス「待てっ!」
剛「何だぁ、あれ?」
カタツムリ「忌々しいぞ、仮面ライダー! 貴様らさえいなければ、世界はショッカーのものになるというのに!」
ファイズ「守り抜いてやるよ…… この世界ってヤツをな!」
剛「俺も助太刀しちゃうよ! ───変身!」

『Signalbike! Rider! Mach!!!』

マッハ「追跡、撲滅、いずれもマッハ! 仮面ライダー…… マッハァ!!」
ゼロノス「ハデだな。あれ、いつもやってんのか?」
ファイズ「俺たちも行くぞ!」

3人のライダーの攻撃が、次第にチーターカタツムリを追いつめる。

ファイズ「決めるぞ!!」

『Hissatsu! Full throttle!! Mach!!』『Exceed Charge』

ファイズのスパークルカット、ゼロノスのグランドストライク、マッハのキックマッハーの連続攻撃がチーターカタツムリを撃破。

『Otsuka-re!』

3人が変身を解く。

剛「よぉし! やったね!」
侑斗「お前、後から来たクセに調子いいヤツだな」
剛「細かいこと気にすんなって! あんたも結構、強いな」
侑斗「チッ!」
剛「っていうか、あんたら一体、何者なんだ?」

そのへ駆けつけた進ノ介。再び、奇妙な感覚が彼を襲う。

ベルト「どうした、進ノ介?」
進ノ介「はぁ、はぁ……」

突如、触手が伸びて剛の首を絞め上げる。チーターカタツムリはまだ生きていた。

カタツムリ「こうなったら、1人でもライダーを道連れにしてやる」
剛「ぐ、ぐあぁっ!」
進ノ介「やめろぉ!」
カタツムリ「ショッカー、バンザーイ!!」
剛「うわあぁ───っっ!!」

チーターカタツムリが大爆死。黒焦げとなった剛が倒れ、霧子が駆け寄る。

霧子「剛、剛! しっかりして、剛!!」
剛「ね……姉……ちゃん……」

剛が事切れる。

霧子「剛? ね、ねぇ…… 剛…… 剛、起きてよ! ねぇ、剛……!」
進ノ介「そんな……!?」

どこかで、時計を刻む音。5, 4, 3, 2, 1, 0──


冒頭と同じく、特状課で眠っていた進ノ介が、スマートフォンの着信音で目を覚ます。

進ノ介「俺、寝てたのか? ───もしもし?」

映画観の前の、霧子と剛。

霧子「今どこですか? とっくに待合せ時間、過ぎてるんですけど」

時計に目をやると、表示は先ほど同様、4月4日9時55分。

霧子「聞いてますか?」
進ノ介「……あぁ、すまない」
霧子「いいです。剛と2人で行って来ます!」
進ノ介「あぁ…… すまない」

剛「進兄さんは?」
霧子「なんか、変な感じだった」
剛「まぁ、いいじゃん。行こ」


ドライブピットを訪れる進ノ介。

ベルト「どうしたんだ?」
進ノ介「なぁ。今この瞬間が、前にも経験したことあるような気がするんだ」
ベルト「進ノ介は『デジャブ』のことを言っているのかい?」
進ノ介「デジャブ?」
ベルト「既視感ともいって、一度も体験したことがないのに、体験したことがあるように思える現象だ。原因には様々な説があるが、解明されていない」
進ノ介「ベルトさんにも、経験ある?」
ベルト「答えはノーだ。この体になってから、私はデジャブを経験したことがない。それより、霧子はどうした?」
進ノ介「あぁ、今日は非番。剛と一緒に、映画に行ってるよ」

そこへ先ほど同様、巧と侑斗が駆け込んで来る。

侑斗「泊、事件だ!」
巧「ショッカーが暴れてる!」
進ノ介「なんだって!? 行こう!」

進ノ介は、巧と侑斗と共に出動する。

ベルト「進ノ介、君は彼らのことを知っているのか?」
進ノ介「えっ? 巧と侑斗じゃないか。いつも一緒に戦ってるだろ?」
ベルト「うぅむ……?」

ショッピングモールでは、やはり先ほど同様、チーターカタツムリが暴れている。

巧・侑斗「「変身!」」

『Complete』『Altair Form』

巧がファイズに、侑斗がゼロノスに変身。

ゼロノス「最初に言っておく。俺はか──な──り、強い!」
進ノ介「あいつ…… さっき倒したよな?」
ベルト「行くぞ!」
進ノ介「あ、あぁ!」

『Drive! Type-Speed!!』

進ノ介がドライブに変身して戦いに加わろうとするが、もう1人の怪人であるヒルカメレオンが、ドライブを襲う。
その時突如、進ノ介の脳裏をよぎる光景。
チーターカタツムリとともに爆死する剛───。

ドライブ「なんだ、今のは!?」

ヒルカメレオンは保護色で周囲の光景と同化し、姿を消してドライブを翻弄する。

ベルト「進ノ介、タイプテクニックでいこう!」
ドライブ「わかった!」

『Type-Technique!!』

タイプテクニックに変身したドライブは、わずかの気配を読み取ってヒルカメレオンに反撃。

カタツムリ「おのれぇ!」
ゼロノス「そいつは任せた!」

退散するチーターカタツムリを、ファイズとゼロノスが追う。


映画館を出た霧子と剛。ファイズ、ゼロノスとチーターカタツムリの戦いが繰り広げられている。

霧子「剛!」
剛「行こう!」

剛がマッハに変身し、戦いに加わる。

マッハ「俺も助太刀しちゃうよ! 追跡、撲滅、いずれもマッハ! 仮面ライダ──」
ファイズ「行くぞ」
マッハ「マッハァ!! ……って、おい!」

3人のライダーの攻撃が、次第にチーターカタツムリを追いつめる。

カタツムリ「忌々しい!」
ファイズ「決めるぞ」

『Exceed Charge』『Hissatsu! Full throttle!! Mach!!』『Full Charge』

やはり先ほどと同様、3人の連続攻撃でチーターカタツムリを撃破。

『otsuka-re!』

変身を解く3人。

剛「やったね!」
巧「騒がしいヤツだな」
剛「勝ったんだから、もっと喜べよ! ほら、笑って!」
巧「こういう顔なんだよ」
剛「どういう顔だよ、それ!? 侑斗、お前はどういう顔してんだよ、それ?」

そこへ駆けつける進ノ介。浮かれる剛をよそに、チーターカタツムリはすでに動かなくなってる。

剛「ま、俺のマッハが一番いい絵だったけどな!」
進ノ介 (剛が死ぬなんて…… 俺、なんて想像を)

しかし突如、瀕死のヒルカメレオンの触手が剛の胴を貫く。

進ノ介「剛!?」
カメレオン「お前も…… 道連れだ!」

ヒルカメレオンが大爆死。

剛「う、うぅっ……」
霧子「剛! 剛……!」

霧子が剛に駆け寄るが、剛は霧子の目の前で事切れる。

霧子「剛……!? 剛──!! 剛……」
ベルト「訂正しよう。さっきの話だが、今どうやら私も、デジャブを感じているようだ」
進ノ介「えっ?」

どこかで、時計を刻む音。5, 4, 3, 2, 1, 0──


またも、特状課で眠っていた進ノ介が、スマートフォンの音で目を覚ます。時計の表示は4月4日9時55分。

進ノ介「えっ? ───もしもし」
霧子「今どこですか? ───は? ちょっと……」
剛「どうしたの?」
霧子「『ショッピングモールには近づくな』って」
剛「どゆこと?」
霧子「さぁ……?」


ドライブピットに、巧と侑斗が駆け込んで来る。

侑斗「泊!」

進ノ介はおらず、「先に現場に向かう」と置き手紙が残されている。


進ノ介は単身でショッピングモールへ向かい、ドライブとなって怪人たちと戦いを繰り広げている。

ドライブ「俺の考えていることが正しければ……!」

怪人はチーターカタツムリ、ヒルカメレオン、さらに3人目の怪人であるアリマンモスが現れる。

マンモス「アリが小さいと思ったら大間違いだゾウ! 小回りの利くアリの体に、マンモスの突進力が加わった、俺の力を思い知れぇ!」

『Type-Wild!!』

アリマンモスの怪力攻撃。ドライブはタイプワイルドとなり、アリマンモスの突進を食い止める。

ドライブ「さっきは確か──」
ベルト「イエス! 現れた怪人は2体だったはずだ」
ドライブ「ぼんやりだけど憶えてる! 敵は確実に増えている!」

単身で苦戦するドライブ。ファイズとゼロノスが参戦。そこへ霧子と剛も駆けつける。

剛「進兄さん!」
ドライブ「剛!? なんでお前が!?」
剛「家に帰る途中で、巧と侑斗に会ってさ。さぁ、一緒に!」
ドライブ「ダメだ! ここは俺に任せろ」
剛「なんで!?」
ドライブ「……理由は後で説明する。ベルトさん、頼みがある!」
ベルト「どうした?」

アリマンモスがドライブら3人を突き飛ばし、さらに剛に矛先を向ける。

ドライブ「剛!?」

『Drive! Type-Speed!!!』『Spe・Spe・Speed!!』

ドライブが一瞬早く剛のもとへ駆けつけ、自らを盾とする。アリマンモスの放った光弾が、ドライブを直撃。

ドライブ「うわあぁぁ───っ!!」

爆炎が上がり、変身の解けた進ノ介が倒れる。

ゼロノス「泊───っ!!」
カタツムリ「次は貴様らの番だ!」

チーターカタツムリが残ったファイズとゼロノスに襲う。

霧子「泊さん!」
剛「おい、しっかりしろ! 進兄さん!」
進ノ介「き……霧子……」

進ノ介が事切れる。

霧子「泊さん……? 泊さん!」
剛「進兄さん…… 進兄さん!」
霧子「泊さん! いやぁ、泊さん!」
剛「進兄さん、起きろよぉ! おい!」

その様子を眺めている、かつてファイズと共に戦ったスネークオルフェノクこと、海堂直也。

海堂「来るぞぉ……!」

どこかで、時計を刻む音。5, 4, 3, 2, 1, 0──


進ノ介が気づくと、自分は特状課の机で突っ伏しており、傍らではスマートフォンが鳴っている。
時計の表示は、やはり4月4日9時55分。

進ノ介「繋がった!」


ショッカー基地。最強の改造人間、仮面ライダー4号が誕生しようとしている。
そして彼の愛機、スカイサイクロンが出撃の時を待っている。

「間もなくだ。フフフフフ……」


(続く)

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最終更新:2023年02月22日 05:06