ハラッパ国を救う4つのランドツールはついに、ハラッパ国を怨むトラボルトの手にすべて渡ってしまった。
トラボルト「ニャッハッハッハッハッ! こっちに4つのランドツールがある限り、ハラッパ国がシーホールに飲み込まれるのも時間の問題だぁ! こんな愉快なことはない~っと!」
ダークロー「会長、これからどうするつもりなんです?」
トラボルト「ヘリコプターをチャーターして、ハラッパ国の最期をこの目で見るのだ!」
ダークロー「はぁ?」
トラボルト「嬉しくないのか?」
ダークロー「故郷がこの世から無くなっちゃうのは、寂しいっちゅーか、その、なんちゅーか……」
トラボルト「バカ野郎!!」
トラボルト、ダークローとカバドスを殴り倒す。
トラボルト「お前たちは、俺の言うとおりにやってればいいんだ!」
一方、ロボタックたちの製作者である高峯博士は、娘の桜子を救うために重傷を負い、入院している。
病室の高峯博士に、ロボタック、唐松刑事、桜子が付き添う。
ロボタック「唐松刑事、博士のことをよろしく頼むバウ」
唐松「おう、任しとけって!」
桜子「ロボタック…… 色々と、ありがとう」
桜子に頷くロボタック。
ロボタックはカケルたちやカメロックたちを集め、協力を乞う。
ロボタック「今日中にランドツールを奪い返さないと、ハラッパ国がシーホールに飲み込まれてしまうバウ。ワンダホンの磁石探知モードを使って、捜索開始バウ!」
一同「お──っ!」
一同はランドツールの捜索を開始し、街中を走り回る。
ロボタック「反応しないバウね」
スピーダム「一体どこだワン?」
マイトバーン「あ、あの、ちょっとすいません、あのですねぇ」
山茶花「えっ?」
カケル「……あっ、反応した!」
トラボルトたちは、ヘリポートでヘリコプターの到着を待っている。
トラボルト「ヘリコプターめ、何をやってるんだ!? 遅いっ!」
声「トラボルト!!」
カケルたち「夢が丘少年探偵団」と、杉探偵が現れる。
カケル「ホームズ、ポアロ、何のその!」
コータ「明智、金田一、屁のカッパ!」
シゲル「あらゆる謎も、バシッと解決!」
ミサキ「正義の味方、ただ今参上!」
一同「我ら、夢が丘少年探偵団!!」
杉「そして! 名探偵・杉 薫、見参!!」
トラボルト「何の真似だ!?」
カケル「ロボタックたちの故郷が無くなっちゃうのに、黙って見てなんかいられないよ!」
ダークローとカバドスが、カケルの言葉を聞いて動揺する。
トラボルト「ダークロー、カバドス、やれ」
ダークロー「そんなこと言われてもねぇ……」
トラボルト「やれ!」
ダークロー「……じゃあ、行きます」
ダークローたちは渋々立ち向かうかと思いきや、カケルたちに加勢する。
ダークロー「やっぱり、故郷が無くなるのは嫌だっちゅーに!」
トラボルト「お前らぁ……!」
ダークローたち「わぁっ、やっぱり怖い~!」
トラボルト「裏切者がどうなるか…… ガオーッ!!」
トラボルトが白のランドツールで突風を放ち、ダークローたちを吹き飛ばす。
ダークローたち「わぁっ!?」
カケルたち「ダークロー、しっかりしろ!」「カバドス!」
カバドス「すまんドス……」
トラボルト「ニャッハハハハ!!」
トラボルトが青のランドツールを突き付ける。
ロボタック「やめるバウ!」
トラボルト「にゃん?」
ロボタックが、カメロック、タッカード、モグラッキー、スピーダム、マイトバーン、ミミーナとともに駆けつける。
カケル「ロボタック!」
ロボタック「トラボルト! カケルたちに手を出すなら、僕たちが相手になるバウ!」
トラボルト「吹っ飛ばしてやる!」
トラボルトが青のランドツールで水流攻撃を放つが、ロボタックたちは危うくかわす。
ロボタック「こうなったら…… ジー・シャーック!!」
ロボタックたちがジシャックチェンジし、スペシャルモードに変形。
スピーダムとマイトバーンは合体し、マイティーワンダーとなる。
しかしトラボルトはランドツールで連続攻撃を繰り出し、近寄ることすらできない。
タッカード「私の翼を使え、ロボタック!」
モグラッキー「僕のドリルも使え!」
ロボタック「よし!」
ロボタックは両腕をモグラッキーのパーツと交換、さらにタッカードの翼を装着する。
ロボタック「ドリルウイングスペシャル!!」
ダークロー「カバドス、俺たちも協力するっちゅーに!」
カバドス「はいドス!」
ダークロー「カメロック! カメロック、俺たちの腕を使ってくれ!」
カバドス「マサカリスライサースペシャル、ドス!」
カメロック「よし!」
カメロックも両腕をダークロー、カバドスのパーツと交換、2人の武器であるカラスライサーとマサカリホークを装備する。
カメロック「マサカリスライサースペシャル!!」
トラボルト「いくらスペシャルバージョンになったところで、ランドツールの敵ではないわ!」
ロボタックとカメロックが、マイティーワンダーとともに、トラボルトに立ち向かう。
トラボルトはランドツールで迎え撃つが、ロボタックたちは3人の連携で、青、白、赤のランドツールを奪い返す。
カメロック「あきらめて、黒のランドツールを渡せ!」
トラボルト「うるせぇっ!」
トラボルトは、唯一残った黒のランドツールで反撃にかかる。
しかしそこへ、重傷を負ったままの高峯博士が、ハラッパ国の長老に連れられて現れる。
高峯「やめろ、トラボルト! なぜ、仲間と戦わなければならないんだ?」
トラボルト「俺のプライドをギタギタに傷つけておいて、よくそんなことが言えるな!?」
高峯「プライド……?」
トラボルト「本当はネコ型ロボットなのに、トラ型ロボットだと嘘ついたじゃねぇか!!」
長老「それは違うぞ」
トラボルト「嘘だ! 俺はときどき『ニャー』と言ってしまう」
高峯「……それはまだ君が、完成してないからだよ」
トラボルト「か、完成していない?」
高峯「そう。お前が誕生した時、トラの遺伝子チップができていなくて…… 取りあえずできるまで、ネコの遺伝子チップで代用していたんだ」
トラボルト「じゃあ…… 俺はネコじゃなくて、トラだったのか!?」
高峯「そうとも! これが、お前が本来入れるべき、トラの遺伝子チップだ」
高峯の手に、トラの遺伝子チップがある。
トラボルト「それを付ければ、俺はトラになれるのか!?」
高峯「ちゃんと説明すればよかった…… すまない」
トラボルト「い、今さら謝られたって遅いわ!」
トラボルトがそっぽを向く。
ロボタック「トラボルト、いや…… 兄さん」
トラボルト「に、兄さん……?」
ロボタック「僕らは、高峯博士に作ってもらったロボットだから、兄弟じゃないか!」
トラボルト「……」
ロボタック「兄さん、遺伝子チップを交換してもらえよ」
トラボルト「……」
ロボタック「兄さん!」
トラボルト「……ロボタック!」
高峯の手でトラボルトの遺伝子チップの交換が行われ、トラのチップが体内に装填される。
トラボルト「お、おぉ~っ! か、感じるぞ! 体中にトラのパワーを感じる~っ! 俺は、ネコじゃなぁ──い!! トラだったんだぁ──!!」
高峯「良かったな、トラボルト」
トラボルト「お父さぁ──ん!!」
トラボルトが涙を流しつつ、高峯に抱きつく。
高峯と和解できたトラボルトの姿に、一同も安堵する。
ロボタック「良かったな、兄さん」
トラボルト「トラ型ロボットだとわかった以上、もう、ハラッパ国に怨みはねぇ。使え!」
トラボルトが黒のランドツールを、ロボタックに渡す。
トラボルト「お父さぁん!」
ロボタック「トラボルト、ありがとう。よーし、これでシーホールを消滅させることができる。みんな、ハラッパ国へ行くぞ!」
一同「おぉ──っ!!」
ノーマルモードに戻ったロボタックたちとカケルたちが、海岸に立つ。
海の彼方では、あらゆる物を飲み込む謎の渦巻、シーホールが激しく渦巻いている。
ロボタック「あれが、シーホールバウか」
高峯「ロボタック、4つのランドツールを1つにするんだ」
ロボタックたちが、金のランドツールの上に、白、黒、赤、青のランドツールをセットする。
高峯「トラボルト」
トラボルト「はい!」
高峯「ジシャックチェンジして、金のランドツールを装着しろ」
トラボルト「おう! ランドツール!!」
トラボルトがジシャックチェンジし、金のランドツールを装着する。
トラボルト「ランドツール・トラボルト!」
ロボタック「頼むバウ!」
ロボタックが残りの4つのランドツールをトラボルトに渡すと、ランドツールが巨大な剣と化す。
トラボルトが剣を構え、シーホールに狙いを定める。
トラボルト「でやあぁぁ──っっ!!」
剣から放たれたエネルギーの一撃が、シーホールに命中する。
シーホールがみるみる小さくなってゆく。
ダークロー「会長、やったっちゅーに!」
一同「やったぁ!」「やったぁ!」
高峯「いや…… まだだ!」
消えるかと思われたシーホールが、再び激しさを増し、元の大きさとなる。
杉「また、でかくなってくぞ!」
ロボタック「ランドツールでも消滅させられないバウか!?」
カメロックたち「なんてことだ……!」
高峯「遠すぎるんだ! もっと近くで…… できれば、シーホールの中心に飛び込んで、ランドツールのパワーを最大限に発揮できれば、必ず消滅できる! だが、シーホールに飛び込んだ者は…… 消滅してしまう」
一同「……」
シーホールはますます活性化を続ける。
ロボタック「僕が行くバウ」
カケル「ロボタック!?」
ミサキ「駄目よ!」
シゲル「死んじゃうんだよ!?」
タッカード「私が行く!」
モグラッキー「僕が行きマース!」
カメロック「水の中なら私に任せろ!」
ロボタック「君たちは、金のランドツールが装着できないバウ!」
カメロックたち「あっ……」
トラボルト「弟のくせに出しゃばるな。俺が行く」
ロボタック「ゴールドプラチナ社の会長がいなくなったら、ダークローとカバドスが路頭に迷うバウ」
トラボルト「しかし!」
ロボタック「シュビドゥバッジを集めたり、試練を克服してきたのは、すべてこの日のためだったバウ。僕が行くバウ! ……トラボルト、ランドツールを」
トラボルト「……兄貴を差し置いて、格好つけやがって。頼んだぞ」
トラボルトがやむを得ず、ランドツールの剣をロボタックに渡す。
ロボタック「ダークロー、カバドス。君たちとはいつも戦ってばかりいたけど、2人のコンビは最高だったバウ。いつまでも、その友情を大切にするバウ」
ダークロー「泣かせること言うんじゃないっちゅーの!」
カバドス「失敗したら、許さんドスよぉ! うわぁ~ん!」
カメロックたち「ロボタック!」「ロボタック!」
ロボタック「みんな、仲良くしてくれてありがとう! カメロック、最後に1つ、頼みがあるバウ」
カメロック「何でも言ってくれ!」
ロボタック「ミミーナと、仲良くしてやってほしいバウ」
カメロック「……わかった」
ミミーナ「ロボタック……!」
ミサキたち「ロボタックぅ──っ!」
ミサキ、シゲル、コータが涙ながらにロボタックに抱きつく。
ロボタック「ミサキちゃん、君の優しさと笑顔は素晴らしいバウ。いつまでも持ち続けてほしいバウ」
ミサキ「うっ、うぅっ……」
ロボタック「シゲル、素敵なガールフレンドを見つけるバウ」
シゲル「うん!」
ロボタック「コータ、カケルがロンドンから帰って来るまで、君がYSTのリーダーバウ。がんばってほしいバウ」
コータ「わかった!」
ロボタック「探偵さん、お世話になったバウ」
杉「バカ野郎……
お前がうちの事務所に、最初に来た時食った飯代も全部払わねぇで……」
ロボタック「カケル……」
カケル「ロボタック…… ロボタックぅ──っ!!」
涙を堪えるようにうな垂れていたカケルが、涙を流しつつロボタックに抱きつく。
ロボタック「君との友情は…… 永遠バウ」
カケル「うん…… うん!」
一同が涙を流し続ける。
その一方では、シーホールがどんどん激しさを増している。
ロボタック「じゃあ、行くバウ」
カケル「ロボタックぅっ!」
ロボタック「ジー・シャ──ック!!」「勇気リンリン! 髭はビンビン! 笛の音色はワンダフル! ロボタック・アズ・ナンバーワン!!」「金のランドツール!!」
ロボタックがジシャックチェンジし、スペシャルモードに変形、さらに金のランドツールを装着する。
ロボタック「ランキング、シーホールまで運んでくれ!」
一同「ロボタックぅ──っ!!」
ロボタックがランドツールの剣を手にし、マスターランキングの上に飛び乗る。
ロボタック「よぉし、行くぞぉ!」
ランキング「がんばるんだゾウ!」
マスターランキングが陸を離れ、シーホール目指して飛び立つ。
一同「ロボタックぅ──っ!!」
マスターランキングが、シーホールの真上までやって来る。
ロボタック「みんな、想い出をありがとう……」
仲間たち、高峯、マスターランキング、そしてカケルの姿が、走馬燈となってロボタックの脳裏をよぎる。
ロボタック「カケル、みんな…… さらばだ!!」
眼下のシーホール目がけ、ロボタックが一気に飛び降りる。
シーホールの激しい渦巻の中にロボタックが飛び込み、不気味な稲妻の飛び交う中、底へ底へと潜ってゆく。
一同「ロボタックぅ──っ!!」
ロボタック「見えた、中心部が見えた! ハラッパ国は、永遠だぁぁ──っ!!」
ロボタックがランドツールの剣を振るい、渾身の一撃を放つ。
ロボタック「消えろ、シーホ──ル!!」
シーホールが急激に小さくなってゆくが、ロボタックもその渦へ巻きこまれてしまう。
ロボタック「うわああぁぁ──っ!!」
一同「ロボタックぅ──っ!!」
海が閃光に包まれ、そしてシーホールは跡形もなく消え去った。
何事もなかったかのような海原が広がり、空の雲間からは光が差し込む。
ロボタックの姿は、どこにも見えない──
一同「ロ、ロボタック……」「ロボタック……」
カケル「ロボタックぅ──っ!!」
後日。海岸に、ロボタックの墓が建てられた。
親愛なるロボタック 永遠に眠る 1999年1月24日永眠 |
カケルたちやカメロックたちが墓石を見つめる。
カケルが、愛用していたワンダフルートを墓石に掛ける。
カケル「ロボタック。君のことは、一生忘れないよ……」
ロボタックの最期を惜しんでいた一同が、背を向け、引き揚げる。
声「カケルぅ──っ!」
その声に、カケルが振り向く。
カケル「今、ロボタックの声が……!」
杉「空耳だ……」
カケルが周囲を見渡すものの、声の主の姿は見えない。
あきらめて背を向け、一同と共に帰途に就こうとする。
声「カケルぅ──っ!」
カケル「空耳じゃないよ! 僕には確かに聞こえるんだ! ロボタック! ロボタック!」
カケルが再び振り返り、海岸を駆け回って声の主を捜す。
その様子に、一同も駆けだす。
何かに気づいたカケルが、墓石に掛けられたワンダフルートを手にし、奏でだす。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪……
突如、空の彼方から光球が飛来する。
杉「な、何だ!?」
光球からロボタックが飛び出し、墓石にぶつかってひっくり返る。
ロボタック「シーホールの小さくなった穴に挟まってたバウ! カケル、もっと早くワンダフルートを吹いてほしかったバウ! もう、死ぬかと思ったバウ~!」
一同「ドテ──っ!!」
今度は一同が、一斉にひっくり返る。
ロボタック「みんな、どうしたバウ?」
エンディングテーマに乗せてのエピローグ。
カケルが、両親のいるロンドンへ発つ日がやって来た。
ロボタックが別れを惜しみ、カケルに抱きつく。
杉やミサキたちも一斉に抱きつき、勢い余って皆が一斉にひっくり返る。
カケルを乗せたタクシーが発つ。カケルが窓から手を振り、皆が大きく手を振って見送る。
杉はいつもの如く名探偵気取り。
タッカードは教師として、スピーダムとマイトバーンは八百屋で奮闘。
孤児院のシスターとなった桜子。
その背後ではトラボルト、ダークロー、カバドスが仲良くケンカしている。
唐松刑事とモグラッキーに、屋台を始めた山茶花がラーメンを振る舞う。
カメロックとミミーナは、とりあえず仲良くやっているようである。
さらに後日。
杉が探偵事務所の扉を閉め、看板を外している。
ロボタック「探偵さん、何やってるバウか?」
杉「この探偵事務所は、今日で休業だ」
ロボタック「えぇ~っ!?」
杉「名探偵・杉 薫の活躍の場としては、この夢が丘は狭すぎる! シャーロック・ホームズの本場で事務所を開く。おっ、もう時間だ!」
杉が旅荷物を手にし、ロボタックに抱きつく。
ロボタック「な、何するバウ!?」
杉「5、4、3、2、1」
時計がちょうど午後2時を指す。
一方、ロンドンは時差で早朝の5時。
現地のカケルがあくびをしつつ、ワンダフルートを奏でる。
♪ ♪ ♪ ♪ ♪……
ロボタック「あっ、カケルが呼んでるバウ!」
杉「よぉし! いざ、ロンドンへ──っ!」
ロボタック「ロ、ロンドンまで走って行くバウかぁ!?」
最終更新:2024年03月26日 00:34