名探偵聖也くん ボクとパンチの物語の最終回

第6話 始まりの終わり

恩人の田上を殺した犯人を見つけようとしていた聖也とパンチだったが、
犯人は田上の娘の美智子だった。
真相を知って、美智子に殺されそうになる聖也だったが、パンチが身を挺して聖也を救った。

水が張った浴槽に、ドライヤーで感電した美智子とパンチが浮かんでいる。
聖也「パンチ!!だいじょうぶかパンチ!!!パンチ・・・!!!」
聖也がパンチを浴槽から出した。
パンチ「クウーン・・・」
聖也「パンチ・・・おまえなんでこんなことを・・・まさか・・・本当に・・・恩返しをしたかったっていうのか・・・?バカ・・・!!そんなの・・・どうでもよかったんだ!!」
「おまえが一番の友だちだったんだ!!おまえがそばにいてくれるだけでよかったんだ!!!だから・・・死なないで!!お願いだから死なないでパンチ・・・!!!」
パンチ「クーン・・・」
パンチが最後に聖也の顔を舐めて、息を引き取った。
聖也「パンチ!!ダメだ!!目をあけろよ!!パンチ!!!」
緒方刑事が、その場へようやくやって来た。
緒方「これはいったい・・・!!」
聖也「パンチ・・・!!!」


田上の庭を重機が潰していく。
聖也はその様を見る事しか出来なかった。
主婦たち「こわいわねー、娘さんが財産をめあてに娘を殺すなんて・・・」
「その娘もバチがあたったらしく、お風呂で変死をとげたそうよ」
「前から樹木が森みたいになってる気味の悪いお屋敷だったものねえ」
「息子さんが家を取りこわして、マンションを建てるらしいわよ」

庭は完全に壊され、空き地となった。
聖也「こんなに・・・せまい場所だったんだ・・・」
聖也が落ちていた柿の実を拾って、目をつぶり、かっての庭を思い返すが、
目を開けると、そこには空き地があるだけだった。
聖也「みんな・・・いなくなっちゃた。お父さんもお母さんも、おじさんも死んでしまった。お母さんと同じ匂いがした・・・お姉さんもいなくなった。一番の友だちの・・・パンチもいなくなっちゃた。ボクだけおいて、みんないなくなってしまう・・・」
大粒の涙をこぼす聖也に一人の女の子が話しかけてきた。
女の子「お兄ちゃん、なんで泣いてんの?なにか、悲しいことでもあったの?」
聖也「いや!!なんでもないんだ!!」
聖也が涙を拭う。
女の子「パンチってだあれ?外国のお友だち?」
聖也「犬だよ」
女の子「わあ!!どんなワンちゃんだったの?」
聖也「最高のやつさ!!ボクらは名コンビだったんだ!!!」

聖也が女の子に、パンチとの思い出を語った.

女の子「すごい!!お兄ちゃん、おはなしじょうずねぇ。お兄ちゃんのおはなしを聞いてると、まるでパンチがここにいるみたい!!」
聖也「パンチが・・・ここに・・・!!ボクは・・・おはなしを書くよ。パンチとボクがどうやって出合ったか・・・パンチがどんなにすごいやつで、ボクらがどんな大活躍をしたか・・・そしたらパンチは、ずっとそのおはなしの中で生きてるんだ」
女の子「わあステキ!!できたら、きっと私にも読ませてね!!」
母親「何してるの京子、行きますよ!!」
京子「お母さんが呼んでる!!お兄ちゃんまたね!!」
女の子こと京子が去っていった。

聖也が涙ぐみながら見上げた空には、パンチがいた。
パンチ「ワン」


さてそれから聖也くんがどうなったかというと、なかなかの男前に成長したようです。
ここは聖也くんのお父さんとお母さんが住んでいた家です。成長した聖也くんは大田原のおじさんの家を出て、両親の家に住んでいます。
聖也くんは自分で言ったとおりにお話を作る人――――小説家になりました。歴史が好きだったので歴史小説が専門ですが、現代のものもたまに書いてます。
そうそう、パンチのことも書きましたよ。あなたが今、手にとっているのが、その本をもとにして描いたまんがです。
大田原のおじさんも年はとったけど、まだまだお元気ですよ。たまに聖也くんの仕事場に来ては、いろいろと文句を言ってます。
この人は秘書の出水京子さん。聖也くんのわがままにつきあって、いろいろ苦労をしています。アレ?前にどこかで会ったことがあるかな?
成長した聖也くんですが、喰い意地はぜんぜん直ってないようです。朝から晩までいろんなものを食べてます。
食べ物の知識をいかして、数々の犯罪事件も解決しています。やっぱり頭がいいんだね。
この人は聖也くんの大学の後輩、警視庁の緒方警部。コンビを組んで事件を解決します。
この人も同じ名前の似てる人がいたけど、息子さんなのかな?
大人になった聖也くんの活躍は「喰いタン」という本になっています。
機会があったら、ぜひ手にとって読んでみてくださいね。

(この後、単行本に同時掲載されている「喰いタンがあばく! これがプロのうまさのひみつ」の紹介が続きますが、割愛します)

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最終更新:2017年03月26日 00:02