秋田妹!えびなちゃんの第1話

海老名奈々が鼻歌を歌いながら、道を歩いている。
?「あれ?海老名ちゃん?」
声をかけられ、奈々が顔を赤らめながら、振り向いた。
奈々「・・・・・あっ、お、お、お兄さん・・・?」

過去。幼い奈々が家に帰ると、奈々の`兄`がきりたんぽの鍋を作っていた。
奈々「ただいま!」
兄「おっ、んかえり。今日、寒かったべ?ちっと待ってろよ、奈々」
奈々「きりたんぽだが!?お兄ちゃんっ!」


その1 奈々と秋田

秋田県。雪の降る中、4人の女子中学生が歩いていた。
段野 蜜代「進路って言われてもなー。高校なんて市内に一校しかねーべしなー」
味噌小路 圭「あなたたち、もっと将来について考えなさい」
蜜代「わかんねけども大学は関東いきてーべ!」
新田 紺「・・・・うちは・・・多分ずっと秋田・・・・」
蜜代「うちら、やりたい事とか特に思いつかんべなー」
圭「のほほんとしていると、あっという間に卒業ですよ」
蜜代「奈々は?何かあるべ?」
奈々「え?」
圭「奈々さん、また夕食の事を考えてたんですか?」
奈々「亜・・・・えっと・・・私・・・・」
「と・・・東京の高校さ・・・行きてぇな~~~って・・・・」
圭「奈々さん・・・その本格的な秋田弁、卒業までに直した方がいいですよ」
紺「んだな」
蜜代「んな方言で東京行ったら笑われ・・・東京?」
「あ・・・何―――――!?」

家に帰った奈々は母親の寧々と話をした。
奈々「で・・・あの・・・お母さん・・・東京に行きてぇんだけども・・・」
寧々「ん~~~~?ダメだよー」
奈々「な・・・なしてー?」
寧々「だって奈々、都会でなんざ暮らせねっぺよー」
奈々「くっ、暮らせるっべ!料理も掃除もできるよー」
寧々「・・・あっんだば、LPガスと都市ガスの違いわかるが?」
奈々「え・・えるぴ?」
寧々「ほら、わからんべ。秋田とは違うんべよー」
寧々「都会に行きてぇのはわかっけど、たまに遊びに行けばいいべよ」
「わざわざ住まなくてもいいんよーーーー」
奈々(しゅん・・・)
寧々「・・・・・・」
「奈々・・・・どしても行きてぇ理由があんだべ?」
奈々「え・・・えっと・・・」


秋田空港。蜜代達3人が奈々の見送りに来ていた。
蜜代「そいだば奈々!元気でな!」
紺「・・・がんばれ」
圭「ちゃんと連絡をしてくださいね?」
奈々「み・・・みんな~」
圭「ちょっと!空港で泣くなんて恥ずかしいでしょ!」
「その・・・方言は出さないようにね?」
蜜代「ちゃんと、あきたこまち食べなきゃいかんべ!?」
圭「あと、あまりそのポーズしない方がいいですよ」
奈々は両手でカバンを持っていたが、腕で胸を寄せ上げて強調してしまっていた。
奈々「・・・・え?なして?」
圭「・・・・・何でも」

奈々の乗る飛行機は離陸した。
蜜代「奈々行っちゃたべー」
圭「遅かれ早かれ地元からは出て行ってしまうものかもしれんよ」
蜜代「奈々、大丈夫かべなー、ドジだし」
紺「心配・・・・」
圭「悪い方に騙されないと良いんですが・・・・」
蜜代・紺・圭「「「「・・・・・」」」
*1


奈々(ひゃーーーー、どんどん秋田から離れてってるべ・・・)
(今日から秋田で無く東京で暮すなんて・・・ずっと秋田だったのに大丈夫なんだべか?)

奈々が東京で迷子になる想像をして緊張していたが、`兄`との再会、それと食べ物のことを想像して笑顔になる。
奈々(うん・・・!でも東京は家族でも何回も行ってるし・・・意外と何とかなるかもしれんべなぁ)
「!、秋田が小っちゃくなってる・・・・」
「・・・・・・」
(こっから・・・色んな事が起ごっかも・・・)
秋田の友達を思い返して、奈々の目に涙が浮かぶ。
奈々(お兄ちゃん・・・・なんでいなくなっしまったんだべ?)

奈々「私・・・お兄ちゃんがいる所に行きてぇ・・・したら私、自分のやりたい事見つかると思うべ」
寧々「んだば、見つかるといいな」

奈々「・・・・・・・・」
奈々があの胸を強調するポーズを取ってしまい、乗客の視線が集まってきた。
奈々(泣いてんの見られてしまったかな・・・恥ずかしなー)

駅に着いてからも、奈々は周囲の視線を集めていた。
奈々「?、?、?」
(み・・・みんな私見るべ・・・やっぱり田舎もんてわかるんだべか・・・?お兄ちゃん怖えよぉ・・・会いてぇよ・・・・)
(あ・・・えと・・・お母さんが借りてくれたアパート・・・ここ・・・だったべか?)

そのアパートには、奈々の兄によく似た青年、土間タイヘイがいた。
タイヘイ「こんにちは」
奈々(お・・・お兄ちゃん??)
タイヘイ「・・・・・・?」
奈々(あっ!!人違いだべ!!)
「あっ、あの・・・すいません!!わわ、私、今日ここに引っ越してきててて・・・・」
タイヘイ「あ、そうなんですか」
奈々(はああ~~っ!恥ずかしいべ・・・!!いきなりカン違い・・・・こんたな所にお兄ちゃんがいたら奇跡だべよ・・・)
タイヘイ「土間です、よろしく」
奈々「あ・・・あのっ・・103の海老名で・・・」
タイヘイ「何か、わからない事があったら聞いてください」
奈々のお腹が激しく鳴った。
奈々「はっ」
タイヘイ「?、だ・・・大丈夫ですか?」
奈々(あ・・・安心したらお腹が・・・・)
「あ・・・ああのの・・・あの・・・・・・・この辺にコイン精米所ってないん・・・でしょうか・・・?自販機付きの・・・」
タイヘイ「・・・・・・コイン精米所!?」

それから、奈々は寧々が送っていた食材できりたんぽ鍋を作った。
奈々「できた!きりたんぽ鍋!もーお母さん・・・食料あるなら言ってほしいべー」
「んめな~~~」
(・・・・何だか・・・いつもより美味しい・・・)
奈々の脳裏には、タイヘイの笑顔が浮かんでいた。
奈々(?、あれれ?何か暑いべ・・・LPガスだから?)
「?、?、?」

これは秋田からやってきた秋田妹(あきたいもっこ)・・・海老名奈々の物語


続く

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最終更新:2017年03月26日 00:12

*1 (本当に大丈夫かな・・・・