超者ライディーンの最終回

超者(ちょうじゃ)ライディーンの最終回


超者降臨!



飛翔たちライディーン戦士10人が合体して巨大戦士・ライディーンS(スペリオール)となり、魔神と化したゴッドライディーンに立ち向かう。
きらりや玲子たちは、軍の艦艇の中で戦いを見守っている。

飛翔「俺たちは負けない! 絶対にお前を止めてみせる!」

きらり「玲子さん。私…… お別れするときが迫っています」
玲子「えっ……!?」

飛翔「うおぉぉ──っ! ライディーンフレアーっ!!

玲子「お別れって、飛翔たちが死ぬっていうこと!?」
きらり「いえ。飛翔たちは、必ず戻って来てくれます」
玲子「じゃあ!?」
きらり「私…… 思い出したんです。本当のことを!」
玲子「えっ……!? 大丈夫。あなたには、私がついてるわ」
きらり「玲子さん……」

涙ぐむきらりを、玲子も涙を滲ませながら抱きしめる。

玲子「泣いちゃ駄目。泣いちゃ…… あなたは、みんなの心を明るくするアイドルでしょ?」
きらり「いえ。私のほうが…… みんなに励まされていた。みんなに出逢えて、私、幸せだった……」

一夜(かずや)「俺にもう迷いはない! ライディーン迫撃斬!!

次々に繰り出されるライディーン戦士たちの攻撃の前にも、ゴッドライディーンはビクともしない。

提督「我々にはもう、何もできないのか」
織田「提督!?」
提督「我々人間は、戦いの歴史を繰り返してきた。そのためにこんな武器を造り上げて…… だが、あの巨大な神のごとき力の前では、あまりにも無力だ。人間には、どうすることもできないのだ」」
玲子「違います! あそこで戦っているのは、私たちと同じ人間です! どこにでもいる普通の少年たちが、傷だらけになりながら、必死で地球を守ろうとしているんです! 飛翔、電光(いかずち)疾風(はやて)銀牙(ぎんが)、エース! あんたたち、負けんじゃないわよ! 負けたら…… 踊りの練習、2倍に……」

エース「俺たちが倒れるわけにはいかないんだ! ライディーンナックル!!
銀牙「命のある限り戦ってみせる! ライディーン激流波!!

ゴッド「魔は、滅ぼさねばならない── ウオオォォ──ッッ!!」

突如としてゴッドライディーンの全身が、漆黒の色に変る。

玲子「何!?」
きらり「あれは!?」
飛翔「どういうことだ!?」
織田「ゴッドライディーンが……」

そら「どういうことでしょうか!? ゴッドライディーンの身体が、暗黒の色に染まっています!」

きらり「駄目…… 駄目よ。目を覚まして、早く!」

ゴッドライディーンが左手の弓、ゴッドゴーガンを構える。

飛翔「あれは、まさか!?」

そら「魔神が、魔神が弓を取り出しました! 1年前に地球を壊滅させた、あの光の弓です!」」

電光「あかん、あの弓は!?」
飛翔「させるもんかぁっ! うぅおぉぉ──っ!!」

ゴッドゴーガンの矢が放たれる。
ライディーンSは両手で必死に食い止めるが、次第にその力に押される。
背後には、玲子たちの乗る艦艇。

玲子「あぁっ!?」
織田「ぶつかる!?」

すんでのところで衝突を避け、ライディーンSはそのまま海の中へと沈む。

きらり「あぁっ、みんな!?」

そら「鋼鉄の戦士ライディーンが、身をもって魔神の矢を防いでくれました! しかし、しかしライディーンは!?」

ゴッドライディーンの体が宙に浮き、空高く飛び立つ。

カイル「何をする気でござるか!?」
聖人(まさと)「魔界を滅ぼしたときと似ている……」
忍武(しのぶ)「野郎、ゴッドバード・チェンジするつもりだぜ!」
藤丸「間違いありません!」
一夜「おそらく、大気圏外からこの地球にゴッドバード・アタックをかけるつもりだ。俺たちが魔界で見た光景が……現実になってしまう!」
飛翔「そうはさせない! 止めるんだ!」

ライディーンSもまた海の中から立ち上がり、翼をはためかせて空へ飛び立つ。

宇宙空間で、ゴッドライディーンとライディーンSが再び対峙する。

飛翔「この地球は、絶対に守ってみせる! ライディーンフレアぁ──っ!!

ライディーンSとゴッドライディーンの拳が激突。
ライディーンSが吹っ飛ぶ。

銀牙「なんというパワーだ!」
聖人「ゴッドライディーンに、限界はないのか!?」
飛翔「諦めるな! 俺たちが諦めたら、地球は終わりなんだ!」

そのとき、飛翔たちのもとにきらりの歌声が響く。

電光「聞こえるで!」
疾風「きらりちゃん!」

地上では、きらりが空を見上げつつ、歌声を奏でている。

ゴッドライディーンの体内に閉じ込められている瑠璃の目が、次第に開かれる。

瑠璃「嫌ぁぁ──っっ!!」

ゴッド「ウオオォォ──ッッ!!」

ゴッドバスターが放たれ、ビームがライディーンSを直撃。
さらにゴッドライディーンが鳥型形態、ゴッドバードに変形する。

一夜「ゴッドバードが!?」
飛翔「まだだ! まだ、終わっちゃいない! みんな、自分の力を信じろ!」
銀牙「そうだ、諦めるな!」
疾風「おぅっ!」
電光「やったるでぇ!」
飛翔「行くぞぉ! 俺たちは負けない!!」
一同「鋼鉄の翼にかけて!! ううおおぉぉ──っっ!!

ライディーンSが突進する。
全身を火の玉と化し、ゴッドライディーンと激突する。
凄まじいパワーの応酬の中、ライディーンSの全身の装甲が次々に砕け散る。

電光「くそぉぉっ!」
疾風「な、なんてパワーだ!?」
エース「げ…… 限界だ!」
銀牙「持ち堪えるんだぁ!」
飛翔「みんなの、みんなの力を俺にくれ!」
一夜「わかった! みんな、飛翔に力を集めろ!」
カイル「All right!」
聖人「頼むぞ、飛翔!」
藤丸「お願いします!」
忍武「信じてるぜぇ!」
飛翔「ううぅぅおおぉぉ──っっ!!

想像を絶するゴッドバードの力を、ライディーンSが必死に食い止める。

飛翔「る…… 瑠璃!!」

ゴッドライディーンの中の瑠璃。
次第に瞳の色が甦る。

地上で空を見上げるきらりの体が、突如として光り始める。

きらり (飛翔……!)

玲子「き…… きらりちゃん!?」
きらり「私の役目は終わりました。ありがとう……」

きらりの服がはじけ飛び、背中から翼が伸びる。

玲子「きらりちゃん!?」

きらりが翼をはためかせ、空の彼方へと飛び立つ。

玲子「きらり……」

宇宙空間。
きらりがゴッドライディーンの中へと飛び込む。
ゴッドライディーンの体内の瑠璃のもとへ、きらりが降りてゆく。

幼い頃の瑠璃の回想。
鏡を見つめる瑠璃。

瑠璃「セイラ様から預かったこのオーブ。私、守り切れるかな?」

鏡の中で、瑠璃の鏡像が語りかける。

鏡像「大丈夫。超魔なんかには、絶対に渡さないわ!」
瑠璃「私が明るい心でいればいいんだものね」
鏡像「そうよ!」
瑠璃「でも私、やっぱり自信ない……」
鏡像「できるよ、きっと!」

幼い頃の回想のように、瑠璃の目の前に、自分と瓜二つのきらりがいる。

瑠璃「あなたは……!?」

きらりがそっと、瑠璃を抱きしめる。

きらり「もう、終わったのよ……」
瑠璃「終わった……?」

きらりの体が瑠璃へ溶け込み、一つとなる。

ゴッドライディーンの全身の色が漆黒から元に戻り、その動きも止まる。
ライディーンSも合体を解き、ライディーンイーグルを始め10人のライディーン戦士の姿に戻る。

一同「ゴッドライディーンの動きが止まった……」「何が起きたんだ?」

ゴッドライディーンの頭部から、瑠璃が降りてくる。

イーグル「瑠璃……!? 瑠璃ぃ!!」

イーグルが瑠璃を、しっかりと抱きとめる。

ゴッド「この時代での、私の使命は終わった」
イーグル「何? もう、戦わなくてもいいのか?」
ゴッド「戦いは常にあり、そして終わることはない。お前たちは様々な宇宙、様々な時代に、その時その時、人間を蝕む魔と戦ってきた。そしてお前たちが魔に敗れることがあれば、私はその世界を滅ぼすだろう──」
イーグル「お前は…… 何なんだ!?」
ゴッド「この姿は仮のものに過ぎない── 違う時代、違う宇宙で、私はまた別の姿で、お前たちの前に現れるだろう──」

ゴッドライディーンの全身が光り、無数の光の粒子となって消滅する。

ファルコン「僕たち、勝ったんだね……」

イーグル「瑠璃……」
瑠璃「飛翔……」

イーグルが変身を解き、飛翔の素顔を晒す。

瑠璃「ずっと、そばにいてくれたのね……」
飛翔「あぁ、そばにいたよ……」
瑠璃「ありがとう……」


何日かが過ぎ、玲子と織田の結婚式が開かれた。
式場の教会の出席者の中には、飛翔たち5人、一夜たち5人の姿もある。

(玲子のナレーション)

天使たちは、私のところに戻って来てくれた。
しかし、西条きらりはその姿を消してしまった。

彼女は、1人の少女の心が生み出した幻だったのだろうか?
いや、彼女は間違いなく存在していた。
そして私たちに、かけがえのないものを残してくれた。

もしかしたら彼女こそ、本当の……

窓のステンドグラスに天使の姿──


教会を出た玲子と織田が、出席者たちの喝采を浴びる。
ふと飛翔が車道に目をとめる。道の向こうで、妖しげな笑みを浮かべる男。

超魔の首領、ルーシュ・デ・モン……?

飛翔「あっ……!?」

ブーケを受けようとするギャラリーに押され、飛翔が転倒。
顔をあげると、ルーシュとおぼしき男の姿は消えている。


電光「何、ボケッとしとるんや、飛翔」
エース「どうした?」
飛翔「いや…… 別に」


さらに何日かが過ぎ、飛翔たちANGEL(エンジェル)と、一夜たちザ・ハーツのジョイントコンサートが開催されようとしていた。
会場の控室で、一夜たちが出番を待つ。飛翔たちは一向に到着しない。

聖人「遅すぎるぞ! ANGELのヤツら!」
藤丸「マネージャーが、道を間違えたんだそうです!」
忍武「気合が入ってねぇから、そういうことになるんだ!」
カイル「本番に間に合うでござるか?」
一夜「フ…… アイツららしいといえば、アイツららしいが、な」
カイル「プッ…… ハハハハ!」
一同「アハハハハハハ!」


当の飛翔や玲子たちは、篠田の運転する車で会場を目指していたものの、渋滞の真っ只中にいた。
飛翔の妹・つばさ、瑠璃も同乗している。

篠田「ごめんなさぁい!」
玲子「何でこんな大切な日に、道間違えんのよぉ!」
篠田「だから、謝ってるじゃない……」
玲子「もう! 着いたら、すぐステージよ! メイクも衣装も完璧にやっといてちょうだい!」
エース「玲子さん、新婚旅行に行くんじゃなかったんですか?」
玲子「あんたたちを置いて、1人だけ遊びにいくわけにいかないでしょ!?」
瑠璃「織田さん、かわいそう」
玲子「いいのよ、旦那はほっといて。私には、あなたちのほうが大事なんだから」
篠田「離婚も間近ね……」
玲子「んんっ!?」
エース「嬉しいような、怖いような……」
飛翔「本当は玲子さんのこと、好きだったんだろ?」
エース「す、好きな人には幸せになってもらいたいもんだ!」
飛翔「この、格好つけやがって!」

カーラジオから、きらりの歌声が流れる。

つばさ「きらりちゃんの曲だ! ねぇ、ボリューム上げて!」

瑠璃が一緒に、きらりの歌を口ずさむ。
美しい歌声に、一同がしばしの間、和む。


そして、ようやく飛翔たちが会場に到着。

一夜「遅いっ!」
電光「遅れとぅて遅れたんやないわい!」
一夜「フ…… まったく、お前らときたら」

飛翔の母・まりえが、銀牙に花束を差し出す。

まりえ「鳥飼くん。外にいた女の人が、これを君にって」
銀牙「私に?」
まりえ「綺麗な人だったわよ」

花束には「銀ちゃんへ」とカードが添えられている。死んだはずのエキドナが銀牙を呼んでいた呼び名──?

電光「ええな、ええなぁ! あぁ、『銀ちゃんへ』? 誰なんや? 馴れ馴れしい」
玲子「本番始まるわよぉ!」
電光「よっしゃあ!」

一夜「よし! 行くぜ、飛翔!」
飛翔「おぉっ! 一夜!」

ステージの上に飛翔たちANGEL、一夜たちザ・ハーツ、総勢10名のコンサート。
観客たちが歓喜し、陽が沈むまでステージが続いてゆく。


街外れで、きらりの古びたポスターを、1人の幼い少女が見上げる。

「私にも、できるかなぁ……?」

どこからか、声が響く。

「できるよ! きっと……!」



(終)

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最終更新:2014年07月06日 18:44