Aというロボット

遥か未来、遠い世界にAというロボットがいた。

Aというロボットはいつも一人ぼっちで、自分の名前しか知らなかったがプログラムに入力されてる通りに活動を始めた。
Aには手があり指があり学習機能も付いていたのでペン回しを始めた。

Aはまずノーマルを考えた。
普段ペンで字を書く動作から偶力を発生させ一回転させることができるようになった。

ノーマルが上手くなっていくと今度は逆回転させるリバースを考えた。
リバースを考えると、ノーマルと交互に技を繰り出すハーモニックを考えた。

この技では親指、人差し指、中指の三本しか使わない。
Aはソニックを考え、リバースという応用を利用してソニックリバースを考えた。
指そのものを軸として回転させるガンマンも考えた。

そんな中、技を繋げて長い時間回し続けられるようになった。
Aは今までの技術を応用してフリースタイルを組めるようになった。
しかし、フリースタイルとしてオーダーは記録していても再び同じように再現できることは出来ない。
Aは撮影用のカメラを作った。

自分が損傷を受けてしまうと、Aは動くことが出来なくなってしまう。
Aは自分と同様のことができるロボットを作った。
そのロボットはBとして、ペン回しを覚えていった。

Aはプログラム通り新しい技を考え、フリースタイルを組み、動画を撮影する。
Bはプログラム通りAから教わり、ペン回しを憶えていく。

時が流れAはエラーが多発するようになり、ペン回しも上手く出来なくなっていく。
Aの手は回すのを失敗して付いた傷やインクだらけになっていた。
燃料も尽き、寿命を迎えようとした時にBはAに聞いた。

「我々はなんていう名前なのか」
Aは消えかかったプレイカラー2の印字を眺めながら答えた。
「人間だ」
最終更新:2013年11月18日 03:09